こんにちは、ファイナンシャルプランナーの hiro です。
金融業界には多くの分野(投資銀行、資産運用、リスク管理、保険、証券取引、フィンテックなど)があり、複雑で競争が激しく、日々新しい規制や技術、グローバルな市場の動向が変化しているため、それぞれに専門的な知識が強みとして求められます。
前回までの記事では、金融リテラシーの向上を目的とした初心者におすすめのお金の資格【初級編】から始まり、ビジネスに活かせるほか、就職・転職においては即戦力としてアピールとなるようなお金の資格【中級編】まで厳選して紹介してきました。

今回はいよいよシリーズ最終回です!
今回は、高度な知識や専門スキルを取得してキャリアの幅を広げられるようなお金の資格【上級編】を厳選して紹介していきます。
- 高度な知識と専門スキルを向上させたい
- 企業内での役割を拡大しより責任のあるポジションに進みたい
- 他者との差別化を図り業界での信頼性を高めたい
ぜひ参考にしてください。
・FP1級技能士
・CFP®認定
・金融業界在籍28年
・営業職27年経験
長年培った知識・技術・経験を基に情報発信します。


春を告げる通信
運営者 FP hiro
お金の資格【上級編】おすすめ5選


資格取得は高度な知識や専門スキルを向上させるための有効な方法の一つです。
特定の業界や職種では資格が必須の場合もあり、資格取得により職業選択肢が広がることがあります。
ここでは、それぞれの資格の特性と受験資格、難易度・合格率のほか、目安となる学習時間やおすすめの資格通信講座などを解説していきます。



資格の特性を確認し目的に合った資格取得を目指しましょう。
1級FP技能士
1級FP(ファイナンシャル・プランニング)技能士は、日本における最上級のファイナンシャルプランニング資格の一つです。この資格は、個人の資産運用やライフプランニング、保険、相続、税務など、広範な金融知識を持ち、実務で活かす能力を有することを証明します。
1級FP技能士は、FP資格の中でも最も難易度が高いとされています。合格率が低く、専門的で深い知識と実務能力が求められます。
1級FP技能検定は、一般社団法人金融財政事情研究会(きんざい)が主催する「学科試験」と日本FP協会ときんざいの2団体が主催する「実技試験」で構成されています。



1級FP技能検定の学科試験には、一定の実務経験が求められるため確認しておきましょう。
受験資格 | |
---|---|
学科試験 | 2級技能検定合格者でFP業務に関し1年以上の実務経験を有する者 |
FP業務に関し5年以上の実務経験を有する者 | |
厚生労働省認定金融渉外技能審査2級の合格者で1年以上の実務経験を有する者 | |
実技試験 | 1級学科試験の合格者 |
「FP養成コース」修了者でFP業務に関し1年以上の実務経験を有する者 | |
日本FP協会のCFP®認定者 | |
日本FP協会のCFP®資格審査試験の合格者 |



わたしは日本FP協会のCFP®経由で1級FP技能検定に合格しました。
試験では、ファイナンシャルプランニングに関する高度な問題に対応する力が試されます。また、専門的な知識のほかに、実務に即したケーススタディやシミュレーションも行われます。
学科試験 | 24年9月 | 24年5月 | 24年1月 | 23年9月 | 23年5月 | 23年1月 |
---|---|---|---|---|---|---|
合格率 | 15.95% | 16.95% | 8.72% | 13.00% | 13.51% | 10.38% |
1級FP技能検定の合格率は、ほかの国家資格と比べると低めです。直近2年間の学科試験の合格率は約8%〜17%となっています。実技試験の合格率は比較的高く、80%〜96%程度です。つまり、学科試験をクリアすることが1級FP技能検定の最大のハードルとなります。
資格取得後には、個人や法人向けに幅広い金融サービスを提供できるため、ファイナンシャルプランナーとしての実務を深め、専門家としてのポジションを確立できます。金融業界での認知度も高いため、特に金融機関や保険業界、税理士事務所などでのキャリアアップや独立開業での活躍が期待されます。




日商簿記1級


日商簿記1級は、日本商工会議所(日本商工会議所簿記検定)の最上級の資格で、簿記や会計に関する深い知識と実務能力を持つことを証明するものです。
日商簿記1級は、企業の財務諸表作成や税務、経営分析、会計処理に関する専門的な知識を問われます。日常的な仕訳や基本的な財務諸表作成に加えて、複雑な取引や経営分析、税法に基づく会計処理など、実務に近いレベルでの能力が求められます。
試験は「商業簿記」「会計学」「工業簿記」「原価計算」で構成されていて、70%以上の正答率(かつ1科目ごとの正答率は40%以上)が求められます。



特別な受験資格はないため誰でも受験可能ですが、簿記2級の知識が前提となっているため、事前に2級を取得してから挑戦する人が多いです。
24年11月 | 24年6月 | 23年11月 | 23年6月 | 22年11月 | 22年6月 | |
---|---|---|---|---|---|---|
合格率 | 15.1% | 10.5% | 16.8% | 12.5% | 10.4% | 10.1% |
直近3年間の検定試験の合格率は約10%〜17%となっています。日商簿記1級は非常に難易度が高く、受験者の中でも合格するのは少数派です。試験範囲が広く、深い理解が必要となるため、十分な学習時間と実務経験が必要です。
資格取得後には、企業の経理や財務部門での高度な業務を担当したり、税理士や公認会計士とのダブルライセンスを取得することで独立開業での活躍も期待されます。また、経営分析や内部監査、金融機関での財務分析業務にも活躍でき、企業戦略の立案や会計システムの導入支援などにも携わることができます。


社会保険労務士


社会保険労務士(社労士)は、労働・社会保険に関する専門知識を持ち、企業や個人に対して労務管理や年金手続きなどのサポートを行う国家資格です。社労士は、労働社会保険手続業務や帳簿書類の作成業務など、特定の業務を独占的に行うことができます。
社労士試験の受験資格は、「学歴」「実務経験」「厚生労働大臣の認めた国家試験合格」の3つのパターンに分けられ、このなかのいずれか1つを満たしている必要があります。
学歴 | 実務経験 | 厚生労働大臣の認めた国家試験合格 |
---|---|---|
・大学、短大、高専等卒業 ・大学(短期大学を除く)における修得単位数 ・専門学校卒業 ・厚生労働大臣が認めた学校卒業 ・各種学校等卒業 ・その他 | ・労働社会保険諸法令の規定に基づき設立された法人の役員又は従業者 ・国又は地方公共団体の公務員等 ・日本郵政公社の役員又は職員 ・全国健康保険協会又は日本年金機構の役員又は従業員 ・社会保険労務士又は弁護士の補助者(社労士法人、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人を含む) ・労働組合の専従役員 ・会社その他の法人(法人でない社団又は財団を含む)の労務担当役員 ・労働組合の職員又は法人等若しくは事業を営む個人の従業者 | ・社労士試験以外の国家試験合格 ・司法試験予備試験等の合格 ・行政書士試験の合格 |
大学や短大の卒業者であれば直接受験できます。ほか、社会保険関連の実務経験が一定期間ある場合に受験資格が与えられます。詳細は社会保険労務士試験オフィシャルサイトからご確認ください。
24年8月 | 23年8月 | 22年8月 | |
---|---|---|---|
合格率 | 6.9% | 6.4% | 5.3% |
直近3年間の検定試験の合格率は約5%〜7%となっています。社労士試験は国家資格のなかでも難関とされていて、合格率は低いです。社会保険労務士試験に合格するためには、約800~1,000時間の学習時間が必要だといわれています。



毎日の学習時間をコツコツ積み上げていくことが大切ですね。
試験に合格すれば、企業の経営者や従業員から信頼される存在となり、労働法や社会保険に関する専門的な知識を活かしたキャリアを築くことができることでしょう。



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中小企業診断士


中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対してアドバイスを行う資格です。経営戦略、人事、マーケティング、財務など、幅広い分野で支援を行います。国家資格としての信頼性があり、企業の経営改善や成長支援の場で重要な役割を担います。
第1次試験の受験資格に、学歴、年齢、実務経験などの要件は一切ありません。誰でも受験可能です。
試験は「第1次試験」「第2次試験(筆記試験)」「第2次試験(口述試験)」で構成されています。
2024年度 | 2023年度 | 2022年度 | |
---|---|---|---|
第1次試験合格率 | 27.5% | 29.1% | 28.9% |
第2次試験合格率 | 18.7% | 18.9% | 18.7% |
直近3年間の第1次試験の合格率は約28.0%、第2次試験の最終合格率は約18.0%です。全体の合格率としては約5%となっているようです。試験の難易度はとても高く、合格するためには、約1000〜1500時間の学習時間が必要といわれる超難関試験です。
中小企業診断士の資格を持つことで、企業の経営改善を支援するだけでなく、コンサルティング業界や公的機関、金融機関、企業内の戦略部門など、さまざまな分野で活躍することができます。独立して自身のコンサルティング業務を行うこともできるため、キャリアの幅が広がります。



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税理士
税理士資格は、日本で税務や会計に関連する専門的な知識と技術を持つことを証明する資格です。この資格を取得することで、個人や企業に対して税務申告や税務相談、会計業務を提供することができます。
税理士資格を取得するには、税理士試験に合格する必要があります。試験科目には、会計学に属する科目(簿記論及び財務諸表論)の2科目と税法に属する科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法または酒税法、国税徴収法、住民税または事業税、固定資産税)のうち受験者の選択する3科目(所得税法又は法人税法のいずれか1科目は必ず選択)で構成されています。



試験は科目合格制が採用されているため、一度に5科目すべてを受験する必要はなく、1科目ずつ確実に受験してもよいことになっています。
2023年度税理士試験からは、会計学に属する科目については、受験資格の制限がなくなり誰でも受験可能となりました。税法に属する科目については、下表の「学識」「資格」「職歴」といった受験資格が定めているため、このなかのいずれか1つを満たしている必要があります。
\ 主な受験資格 /
学識 | 資格 | 職歴 |
---|---|---|
・大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で社会科学に属する科目を1科目以上履修した者 ・大学3年次以上で社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した者 ・一定の専修学校の専門課程を修了した者で社会科学に属する科目を1科目以上履修した者 ・司法試験合格者 ・公認会計士試験の短答式試験に合格した者 | ・日商簿記検定1級合格者 ・全経簿記検定上級合格者 | ・法人又は事業行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者 ・銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者 ・税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者 |
上記以外の受験資格については、国税庁ホームページ『税理士試験受験資格の概要』をご確認ください。
2024年度 | 2023年度 | 2022年度 | |
---|---|---|---|
合格率 | 16.6% | 21.7% | 19.5% |
直近3年間の試験の合格率は約16%〜22%となっています。科目別の合格率は異なり、例えば2024年度の財務諸表論の合格率は8.0%と低めでしたが、相続税法の合格率は18.7%と比較的高めでした。試験の難易度はとても高く、合格するためには、一般的に3000時間程度の学習時間が必要といわれる超難関試験です。



通常、合格までには2~3年の学習期間が必要といわれる税理士試験です。事前に十分な計画を立てて試験に挑んでいきましょう。
税理士試験に合格した後は、独立開業から税理士法人勤務、企業の税務部門勤務、さらには専門分野に特化することまで、多岐にわたるキャリアパスがあります。税理士として高い専門性を活かし、多様な分野で活躍できるチャンスがあります。
高度な知識や専門スキルがキャリアに与える影響


金融業界において、高度な知識や専門スキルがキャリアアップに与える影響はとても大きいです。以下の3つの観点から詳しく解説します。
これによって、キャリアの成長と安定を確保し、より高いレベルの職業的な成果を上げるための強力な土台を築くことができることでしょう。
専門性の向上と差別化
上級資格を取得することにより、特定の分野での深い専門知識を証明することができます。例えば、日商簿記1級や税理士の資格は、会計や税務に関する高度な知識を持っていることを証明します。これによって、企業の財務状況や税務に関する複雑な問題に対応できる能力があることを示し、特に企業の経営戦略や財務分析を担当するポジションで差別化できます。これによって、専門的な業務に携わる機会や責任あるポジションを得やすくなります。
【具体例】
日商簿記1級を持つことで、財務諸表の作成や分析、経営判断に必要な会計知識が豊富であることが証明され、特に経理部門や財務部門での評価が高まります。また、税理士資格を持つと、企業や個人の税務を深く理解し、税務調査への対応や税務戦略を立案できるため、税務部門や財務コンサルティングの分野で差別化されます。
昇進の機会とリーダーシップの役割
上級資格を持つことは、単に専門知識を持っていることを証明するだけでなく、業界内での信頼性やリーダーシップを発揮するための大きな要素となります。資格を持つことで、より多くの責任を持つポジションやリーダーシップを発揮するポジションに昇進するチャンスが増えます。特に、金融機関では資格が求められる場面が多いため、上級資格を持つことが昇進のためのステップアップになります。
【具体例】
例えば、銀行での役職である「支店長」や「部長」などのポジションには、金融業務の幅広い知識だけでなく、リーダーシップやマネジメント能力が求められます。上級資格を持つことで、マネジメント業務に必要な知識を十分に理解していることを証明し、昇進のチャンスを得やすくなります。
市場価値の向上と転職市場での競争力強化
上級資格を取得することで、金融業界内外の転職市場でも市場価値が大きく向上します。特に、金融業界では専門的な知識や資格が評価されるため、転職時にほかの候補者との差別化が可能になります。また、資格を取得することで業界内の最新動向や技術にも精通していると見なされ、より高い給料や待遇を提示される可能性も高まります。
【具体例】
資格を持つことで、転職先の企業が求めるスキルセットに合致しやすく、高評価を受けることができます。例えば、1級FP技能士として資産運用や税務アドバイスを提供、そして社会保険労務士として社員の労務管理や給与体系を管理することで、企業全体のリスク管理や福利厚生施策に関与できる人材となります。このように、専門的な知識や資格を持つことは、金融業界での多角的な役割を果たすための強みとなり、転職先企業にとって非常に魅力的です。
まとめ|お金の資格【上級編】おすすめ5選


今回は、高度な知識や専門スキルを取得してキャリアの幅を広げられるようなお金の資格【上級編】を厳選して紹介してきました。
金融業界でのキャリアアップには、高度な知識や専門スキルは不可欠です。それらを持つことで、信頼性が高まり、責任あるポジションへの昇進が可能になります。また、業界の複雑さや変化に柔軟に対応できる能力を持つことが、長期的な成功に繋がります。資格やスキルを積み重ねることで、専門家としての信頼を築き、キャリアの幅を広げることができることでしょう。



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最後までお読みいただきありがとうございました。
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